入学式祝辞

平成30年度 入学式での校長祝辞

 新しい出発を祝うかのような春うららかな今日のよき日に、東京都議会議員 両角みのる 様、学校運営連絡協議会協議委員・東京外国語大学大学院教授 鈴木茂 様、同窓会あかね会会長 小林幹彦 様、PTA会長 日笠美香 様、PTAOB会幹事長 柿沼健一 様を始めとする御来賓の方々、また、東京都教育委員会から藤井大輔 指導部指導推進担当部長の御臨席を賜り、東京都立南多摩中等教育学校第9回の入学式を執り行うことができますことは、私ども教職員にとりまして、大きな喜びであります。

 160名の皆さん、入学おめでとうございます。保護者の皆様、お子様の御入学、心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。

 

 入学に当たり、新入生の皆さんに二つお話をします。

 一つ目は本校の教育活動の柱としている自律的・体験的な探究学習であるフィールドワーク活動についてです。

 東京都教育委員会作成の「日本の伝統・文化に関する教育推進資料」から「食生活を変えた冷凍技術」をテーマとして取り上げた部分を一部引用してお話を進めます。

 一般的に冷凍とは、マイナス18度以下に保つことを指します。冷凍により食品の劣化や腐敗を防止することができることは皆さん知っていると思います。

 では、「セルアライブシステム(Cells Alive System)冷凍」の頭文字をとって、CAS冷凍という言葉を聞いたことがありますか。

 従来の急速凍結は、素材を凍らせるだけであるため、水分子が集まってできた氷の結晶である氷晶によって素材を膨張させてしまいます。そのため、素材の細胞組織は破壊され、旨味や香りの多くを損なうことになります。それに対しCAS冷凍は、様々な食材が持つ素材本来の旨味や香り、みずみずしさなどを長期間保つことができます。また、この技術は最近では食品だけではなく、移植技術など医療の分野での開発が進むなど、その応用範囲に広がりを見せています。これまでの常識を覆す、まったく新しい理論体系から生まれた組織を生かす技術、セルアライブシステム(Cells Alive System)が、どのようにして開発されたのか調べてみたいと思いませんか。

 本校では、このような研究開発の糸口となる「なぜだろう」「どうしてだろう」という好奇心を大切にしています。皆さんの周辺には、たくさんの“不思議”があります。皆さんはそれらに気付き、仮説を立てて、検証をします。その結果、得られた事柄から、自分の考えをまとめ発表します。多くの人々との交流や様々な体験を経て、自分で考えて判断し表現するというステップを自律的、体験的に行っていく学習活動が本校の「フィールドワーク活動」です。前期課程では、学年進行で地域調査、モノに関する探究、科学的検証活動を行います。そして後期課程では、自分の将来を視野に入れて、最も興味関心のある分野の探究に個人で取り組み、各自4,000字の論文を仕上げていきます。自己の興味・関心、研究テーマ、今後進みたい進路につながるよう指導を行っていることから、本校では後期課程でのフィールドワーク活動を「ライフワークプロジェクト」と名付けています。これからの時代はますます社会の仕組みが複雑化し、困難な課題の解決へ向けた柔軟な発想力が必要となります。また、グローバル化の進展や人工知能等の飛躍的な進化など、加速度的に変化する社会において、言語能力を駆使し、習得した知識・技能を活用して、新たな価値を生み出す創造的・論理的思考力、物事の真理や意味等を追究する探究力の育成が求められています。本校ではフィールドワーク活動を教育活動の柱に据え、フィールドワークと各教科の学習の接続を円滑に進めながら、身に付けるべき生徒の能力を育んでいます。

 

 二つ目は、多様性-ダイバーシティ という言葉についてです。

 東京都は、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に「世界一の都市・東京」の実現を目指しています。
(1)人間としての存在や尊厳が尊重され、思いやりに満ちた東京
(2)あらゆる差別を許さないという人権意識が広く社会に浸透した東京
(3)多様性を尊重し、そこから生じる様々な違いに寛容な東京
を基本理念として人権施策の推進に取り組み、国際都市にふさわしい人権が保障された都市を目指しています。

 全ての人に人権があり、それぞれが互いに尊重し合い、生かし合う社会が求められています。これからの学校生活においても、皆さんには自分と考え方が違う友人の意見に耳を傾け、様々な特性を持つ友人を受け入れる思いやりの心を大切にしてほしいと思います。本校は、多様な生徒の個性を大切にして、20年後、30年後に様々な分野で世界のリーダーとして活躍できるよう6年間の教養教育を展開している学校です。皆さん一人一人が多様性-ダイバーシティについて考えを深めてくれると嬉しいです。

 

 さて、皆さんは今回の入学者決定に向けた適性検査で、激しい競争率を潜り抜けて合格を勝ち得ました。皆さんの努力の賜物です。入学後も、困難な課題に遭遇して、心が折れそうになった時にも自己のエネルギーをフルに注いで課題を解決し、一歩一歩着実に進んでいってほしいと思います。教職員も一丸となって「基礎力のある生徒集団」から「突破力のある生徒集団」へと「やりきらせる」という指導上のキーワードを共有して皆さんの夢の実現を応援します。

 

 結びに、保護者の皆様、慈しんでお育てになったお子様を本日からお預かりいたします。お子様の成長にとって何が最善か、課題に直面した際にはどのようにして解決していくべきか、保護者の皆さんと私共教職員とが共に手を取り合ってお子様を支援していけたら幸いに存じます。何卒、本校の教育方針への御理解、御協力をお願い申し上げます。新入生が、これからの6年間を明るく健やかに充実した学校生活を送れますよう祈念して式辞といたします。

 

平成30年4月7日                   
東京都立南多摩中等教育学校
校長 永森 比人美

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